ひとりごと

ただの吐き出し場

山小屋バイトに行ってきた2

初日が前途多難すぎました。

新幹線で富士山の近くまで向かったのですが大雨により小田原で1時間停車。余裕を持って家を出ていますが、5合目に向かうバスに間に合うのかハラハラしました。

結局1時間ちょい遅れて新富士駅に到着。バスが出る15分前くらいだったのでギリギリセーフでした。登山客は基本的にお得な往復のバス券を買うらしいのですが、往復券の期限は3日ほど。これから20日近くを富士山で過ごす私には使えません。

私「5合目までの片道バス券が欲しいのですが……」

駅員「片道?富士山にいつまでいるんですか?」

私「8月15日まで……20日間くらいですかね?」

駅員「……は?」

という会話を新富士駅内とバス内でやりました()

この日は新幹線も止まるくらい静岡県内全般で天気が最悪でした。普通の登山客だったらキャンセルが賢明で、というかこんな天気で登ったら山を舐めてるなんて怒られるようなコンディションでした。しかし私はその日からバイトに行かなければいけないということ以外考えられず、ともかく富士山へと向かいました。

 

1時間ほどバスに乗り5合目に到着。5合目の休憩所にはこんな天気のわりに思ったより人がたくさんいました。駅で買ったおにぎりとパンを食べ、高山病対策のため1時間ほど休みました。山小屋の人へ電話もする。後で聞いた話だと、私が何日からアルバイトだったかよく分かってなかったらしい。適当でわろた。

レインウェアを着てザックカバーをつけて富士登山の第一歩を踏み出す!

目の前に集団のツアー客がゆっくり登っており、私もその後ろにつきツアー客の1人みたいになっていました。20分ほど歩いて6合目。さすがにまだ疲れていませんが雨脚は強くなるばかり。ツアー客は6合目で休むようだったので、私はツアー客を抜かし先へ急ぎました。できるだけ早く山小屋へ行きたい、、そんな気持ちでいっぱいでした。

7合目への道へ出ると、上は真っ白で何も見えません。登山客も見えません。さすがに少し心細くなりましたが私は前に進むしかなく、歩き出しました。

上がっていくごとに風が強くなり、その分雨が私の体に当たります。しかし雨と風だけだったらどれだけよかったか。6合目を出て15分ほど歩いたところで雷が鳴り始めます。

既に森林限界を突破しており、まわりはオンタデと岩だけで、雷をさえぎるものはありません。雷が鳴っている時、ピカっと光ってから秒数を数えるようにしているのですが、光ってから2秒とたたないうちに音が聞こえます。隠れる場所もないので私は空が光ったら即座にしゃがむことしかできませんでした。

雷の頻度が増えてきて、姿勢を低くしながら少しずつ進みました。雨風なんかどうでもいい。ただ雷が怖い。登山客もほぼいない。怖い。私は半ベソでもうどうすればいいかも分からずただひたすら少しずつ進みました。

後ろをふと見ると、1人の女性の登山客が私に追いついてきました。ちょうど登山道の開けた場所にさしかかっていたため私はその人を待ってみることにしました。

すると、その方は笑顔で「こんにちは〜」と話しかけてくれました。1人で泣きそうになっていた私には神のように見えました。その方は何度も富士山登山を経験しているベテランの方で、なんと「山小屋まで一緒に行きましょうか」と言ってくださいました!この方がいなかったら私は山小屋までたどり着けていなかったかもしれません。

雷は変わらず鳴っていましたが、2人で登ることの心強さといったらこの上なかったです。雑談しながらゆっくりと登っていきました。

上を見上げると山小屋がうっすら見えてきました。もう少し、もう少しと唱えながら最後の階段を登ります。山小屋の前についた時は安心しすぎて泣きそうでした。

とりあえず看板の写真を撮って、既に別の山小屋で働いていた同級生に連絡しました。「あの天気の中よくご無事で。これから頑張ってください」と返事がきました。一緒に登ってくれた女性の方は「雨も落ち着いてきたから私は先に進みます」と言ってさらに登っていきました。本当に本当にありがとうございました。

 

雨も降っているから早く山小屋に入ってしまえばいいのですが、なんせコミュ障ワイ。

心の準備をどうにかして山小屋のドアを開けます。私のメガネは曇ってしまって半分くらい見えてませんでしたが。雨だったため飛び込み客が多かったようで、受付は混んでいました。

「いらっしゃい。どうしました?」みたいなことを言われたような気がしたので「あ、アルバイトで来ました!」と答えると、優しげなお姉さんが「裏口案内するのでそこから入ってください」と言ってくれました。

裏口から入るとこれまた優しそうなお母さんが「お疲れ様〜大変だったねぇ」と迎えてくれました。

天気のせいだからしょうがないけれど、初日からこんなびしょ濡れで申し訳なさとしんどさで頭がいっぱいでした。穏やかそうなお兄さんにあいさつされ、その後強面のお兄さんに荷物置き場と寝床を案内される。口調も荒めでビビりながらともかく「はい!はい!」とハキハキ感を出しながら返事をして言うことを聞いていました。結果的にこの強面のお兄さんと一番喋るようになりましたが笑

寝床に案内されたのが20時前。こんなに早く眠るのは一体いつぶりだ、、と思いながら、また明日からの不安も抱えながら眠りにつきました。さすがに疲れていたからか、すぐ眠ることができました。幸い高山病も発症しませんでした。

ここから約20日の山小屋生活がスタートしました。