ひとりごと

ただの吐き出し場

山小屋バイトに行ってきた4

バイトを始めた当初から、「できれば1度山頂まで行きたい」というのは伝えており、「天気やお客さんの入り具合で判断して、行けそうだったら良い」と言われていました。

その日は平日で登り客も少なく、かつ晴れていたため許可が出ました。私は急いで準備をしました。山小屋のお母さんがおにぎりを握ってくれて、売店で売っているチョコレートと飲み物をくれました。

いざ行くとなると、はたしてちゃんと山頂まで行けるのか不安になり「大丈夫かな」とずっと繰り返していました。体力もそこまでないですし、何より高山病が怖かったです。私がずっとオロオロしてたので、それを見てたAさんとアルバイトのお兄さんに「なんかこっちまで緊張しちゃうよ」と言われました。Aさんには「1週間も7合目いるんだから、高山病は大丈夫だと思うよ」と励まされ、ドキドキしつつ出発しました。

 

8合目くらいまでほぼコースタイム通りに登っていきました。時々頭が少し痛く「高山病!?」と心配していたのですが、風が強く寒さによる頭痛だと気付きました。着ていたウインドブレーカーの帽子をかぶって風除けしたら頭の痛さは治りました。

8合目について、緊張しながら山小屋を覗くとアルバイトらしき男の子と店主らしき方がいました。「すみません、アルバイトの○○はいますか」と尋ねてみました。8合目には、私の学校の同級生がアルバイトとして働いていたのです。店主の方が「今日夜勤で今寝てるから、悪いけど帰りに寄ってほしい」と言われたので私が了承すると、ついでに山小屋のグッズをくれました。ありがとうございました。同級生に会えなくて少し残念でしたが、代わりに帰りに会えると思うと元気が出て再び山頂に向かって登り始めました。

 

8合目から先の道はなかなかしんどかったです。山頂も見え始めるのですが、足の疲れでさくさくと登ることができず、かなりペースダウンしてしまいました。9合目から山頂が本当に長く感じました。山頂の鳥居にむかってあと一歩あと一歩と向かいました。

鳥居をくぐりぬけ、山頂にたどり着きます。体調悪くならず着いたことで安堵しました。父親に写真をlineで送ったのち、剣ヶ峰へ向かいます。剣ヶ峰にたどりつくまでの「馬の背」と呼ばれる斜面がキツかったです。ここで滑落事故が起きたことがあるなんて話も聞いていたため、気をひきしめて登りました。なんせ頂上、風が強い。フラッとして滑落なんてたまったもんじゃない。なんとか登りきり、日本最高地点の石碑と記念撮影。ともかく風が強いけれど、無事登り切ったことで悦に入る。

7合目から登ったこともあり、かなりの軽装できていました。出発前、アルバイトのお兄さんから「体が冷え切るまでいないように」と言われたことを思い出し、名残惜しみながら剣ヶ峰を後にし、お鉢巡りを開始。火口のまわりを歩きましたが、岩と砂だらけ。行ったこともないけれど火星のような、違う惑星にきた気分でした。何度も言いますが風が強い。ところどころ狭い岩場があり、足を滑らせないように慎重に歩きました。

吉田口のルートの頂上付近にベンチがあったのでそこでお昼休憩。お母さんが作ってくれたおにぎりを食べる。泣けるほどおいしかったです。あんなにおいしいおにぎりが世の中にあるのか。

少し休憩をした後、登ってきたところまで1周する。神社でお土産としてお守りを買い、トイレへ行き下山開始。

私は下山もかなり苦手です。足をすぐ滑らせるのです。高尾山で盛大にすっころんだことを一生忘れない。そのためかなりゆっくりと降りていきました。それでも3度ほどしりもちをつきました。9合目まで降りてきたところでスマホを見ると、夜勤後の睡眠から目覚めた同級生から「8合目来るころ連絡くださいね」とlineが入っていました。「今9合目だからもう少しで行くよ!」と返し、気持ち足取りが軽くなりました。

8合目の山小屋が見えてきて、山小屋の角を曲がった瞬間同級生とバッタリ。「丁度いいタイミング」と言われ2週間ぶりくらいに会話。私より1週間以上先にアルバイトを始めていたためか(しかもメインで夜勤をしていた)、同級生に疲労が見えていましたが、それでも元気そうで安心しました。いらないかな、と思ったのですが山頂で買ってきたお守りを渡す。向こうは勤務中だったのであまり長居もできず、「じゃあまた学校で」「あと2週間くらいバイトがんばろう」と言い合って別れました。最初に書きましたが私はこの同級生をとても尊敬していて、アルバイト期間も時間ができたら7合目から同級生がいるこの8合目を見上げてはがんばろうと思っていたくらいなので、少しの時間でも会えてよかったです。

8合目まできたら7合目の山小屋が下の方に見えます。7合目の山小屋が見えただけで実家のような安心感を感じながら下っていきます。下るうちに、曇ってきて視界が真っ白になります。

バイト初日の大雨と雷が若干のトラウマになっている私は速度を上げて下りました。幸いすぐ雲は流れて天気は悪くなりませんでした。7合目の山小屋に帰宅。アルバイトのお兄さんが売店に立っており「速いじゃん」と言われました。そのあとAさんもきて全く同じように「速いじゃん」と言われました。その日は1日休みをもらっていたので、そのまま寝ててもよかったのですが、今寝ると夜寝られないと思い、しかしやることもないので仕事をしたりしなかったりしながら過ごしました。

 

1度は登ってみたいと思っていた富士山を無事山頂まで行って戻ってくることができてとても嬉しかったです。社会人になってすぐの頃、登山をはじめようと思い、富士山にも行きたいと思っていたのですが、なかなか準備等も大変だし、まずは体力つけていくつか山を登って、、、なんて思っているうちに6年くらい経っていました。

7合目スタート、荷物もほぼ山小屋に置けた、天気が良い日だった、というところはあるのですが、挑戦してみたら案外なんとかなるんだなと思いました。

登山ガチ勢の友人らは「富士山は登るより見る山だ」なんて言い、私もそう言う気持ちはわかりましたが、それでももともと静岡出身ということもあり富士山は特別だなと思いました。来年以降も時間があったらいろいろなルートで登りたいです。