「森へ」
私が机に向かっていてもすぐ手に取れる位置に、1冊の本を置いている。
写真家・星野道夫さんの「森へ」という本だ。
初めてこの話と出会ったのは小学生の頃の国語の授業で、国語の教科書に載っていた。
文章とともにたくさんの森の写真が載せられており、私はひと目見て衝撃を受けた。
星野道夫さんは、アラスカの動物や森の写真を多く残しており、この「森へ」という話も、アラスカの森での話だった。木々の写真はとても美しくて、けれど少し、どこか怖さを感じるような印象を受けて、私はこんな木々を見たことがなかった。
星野さんが森を進んでいくと、模様が刻まれた木を見つける。それは、かつてその森に住んでいたであろう人々が作ったトーテムポールだった。私はそれにも衝撃を受けた。深く木々に閉ざされた世界に、人の居た跡があるということはとても神秘的でドキドキした。
星野道夫さんについては、小学校の国語の授業でも出てきたし、中学か高校かでは英語の題材で星野さんの半生について習ったのだが、周りに知っている人が少なかった。扱っている教科書が違うのか、引っかかる人が少なかったのか。
一時期、自然や環境にハマり(もちろん今も自然の中にいるのは好きだが、特に好きだった時期がある)エコロジーについてもすごく気にしていた時があったのだが、自然に興味を持った原点はこの本かもしれないなと思う。