ひとりごと

ただの吐き出し場

忘れられない風景

以前、記事で私の好きな写真家さんの本について書いた。

「森へ」 - ひとりごと

 

最近、本屋へ行く機会があり新しく本を買った。

とんぼの本 星野道夫と見た風景

とんぼの本 星野道夫と見た風景

 

 

この本は写真家・星野道夫さんの夫人である星野直子さんの視点で書かれたものとなっている。

この本の中で、直子さんは星野道夫さんに「あなたの夢は何?」と聞かれ、書店に勤め始めたばかりだったが、もともと花が好きでフラワーアレンジメントの専門学校を探したりしているが一歩を踏み出せない、というようなことを話すと、道夫さんは「本当に好きだったら、大丈夫、やれるよ」と言ってくれた、という話がある。

私はこの話がとても好きでつい何度も読み返している。

そのひと言で、「あ、そうだ、できるかもしれない」と、

それまでの迷いが嘘のように吹っ切れてしまった。

まるで背中をぽんと押されたように、2月には辞表を出して、3月に退社。

4月にはフラワーアレンジメントの学校に通うようになっていました。

 ー星野道夫とみた風景 より抜粋

 状況や年齢など全く違うが、興味があることに一歩踏み出したい気持ちにどこか通ずるところがあり、私もこの「大丈夫、やれるよ」という言葉を読んでは自分に「そうだ、大丈夫、やれる」と言い聞かせている。

 

結婚後のアラスカでの生活や、新しい家族の誕生などが写真とともに綴られている。

アラスカというと、氷で包まれた色のない世界のような印象を抱いてしまうが全くそんなことはない。木々や空、花たちは色とりどりでとても美しい。

本を読み進めるたびに、星野道夫さんの純粋で少年のような、暖かな人柄に私は薫陶を受ける。

そして終盤に書かれている「クマを憎んではいません」という言葉、そしてこちらを向くクマの写真。赤の他人の分際でいろいろなことを考えてしまう。

 

 

 

今までの仕事や経歴を捨てて、私は白紙状態だ。

周りからは「自由でいいね」と言われるし、自分でもそう思うが、それでもつい周りの友人と比べると気持ちは萎縮してしまう。

キャリアを重ね役職を上げていく同級生や、結婚・出産し子どもを育てている地元の幼なじみたちを見ていると、私は何もできない、何も持っていない。

比べてもしょうがないことを私は悶々と悩み続けてしまう。

そんな時、星野さんの本を開き、文章を読み、写真を見ると不思議と「大丈夫」だと思える。

きっと、私の心の感じたままに生きていけば大丈夫だと。